あらよ。虎之介です。
竹田と2人でこの9月に約1ヶ月間、ヨセミテに行ってきた。
目標ルートはノーズ、フリーとか拘らずほとんどのピッチがエイド。気持ち良さよりも恐怖や、多すぎるギアの煩わしさ、土木作業的な一挙手一投足の辛い記憶が強くのこった。
でも、壁でのビバークはとても美しかった。
夕暮れの光が映り刻々と色を変える岩壁。ハーフドームの真ん中に灯るクライマーのヘッドライト。徐々に増える銀河。人工衛星はいったい幾つ空を横切ったのか。月が顔を出せば光の粒は少なくなる。代わりに今まで息を潜めていた花崗岩が白く輝き始める。夜の全てが終わった後、白い息を吐きながら朝日に照らされるパートナーの横顔。これはクセになる。思わずエルキャピタンの中で4泊した。
しっかりと情報収集をし、確実にトレーニングを積めばかなり少ないリスクで挑戦できる1000mの壁。壁の中で過ごす5日間。ミーハーだろうが軟派なんだろうが、そんな事はどうでもいい。とにかくこれはイイ。
でも本当は、もっと高くて、寒くて、人の光が届かない山でこれをやりたい。出来る限りシンプルな状態で。