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~その2より~ 【11日目】三伏峠~本谷山~権右衛門山 雪 05:20 出発 06:00 三伏山 08:10 本谷山 12:15 権右衛門山 先のコル幕営 朝、外では雪がちらつく。小屋を出て動き出すものの、夏道は埋まっていて、テープ等の目印も見当たらないため、三伏山の登り出しまでは多少てこずる。その後は、ひざ下程の比較的平坦な尾根上をラッセルしてゆく。 相変わらず人間のトレースは無い。かわりに動物の足跡(うさぎ?)と思われる足跡は無数にある。毎回不思議に思うことだが、ルートファインディングをしていると結果的に獣の足跡と合流し、辿っているということが多い。やはり、人間にとっても動物にとっても歩きやすいルートは変わらないものなのだろうか。 本谷山あたりまできた。塩見岳が姿を見せる。このあたりから見ると山容は尖峰のように見え、なかなかカッコいい。同時に、濃い樹林が行く手を阻む。雪の下に隠れた木の枝は積雪の層構造を疎にするため、しばしばそこを踏みぬき腰までの落とし穴に嵌ったような格好となってしまい、脱出のために体力を余計に消耗してしまう。また、張り出した枝の中へ突っ込む時には腰をかがめたり、手で強引に枝を払いのけたりするため上半身も疲れる。要は、樹林が濃いと一歩一歩を踏み出すのに非常に苦労するという話だ。権右衛門山も同様に苦労しつつ超え、12:15には本日の幕営地となるコルに着く。 整地を念入りに行ったお陰で、比較的快適なテント生活になりそうだ。明日はこの時期、このメンバーにとって2回目の塩見岳。昨年はあいにくのガスだったため、恐怖感が強く残っている。明日は晴れてくれ! 【12日目】権右衛門山付近~塩見岳~北荒川岳 晴れ 05:20 出発 06:00 塩見小屋付近 10:00 塩見岳山頂 12:15 北荒川岳 12:30 幕営地 朝起きると、テント内は久しぶりの冷え込みとなっていた。こりゃあ晴れだな!と期待をして外に出ると、樹林のせいで星空は見えないものの、塩見岳の方向にぽっかりと三日月が浮かぶのが見えた。どうやら、今回の塩見岳は天気に恵まれそうだ。 はじめは、ワカンをはいて塩見小屋の下あたりまで登る。雪面が固くクラストしてきたので、アイゼンに変えてスピードを上げて登る。 (塩見岳東峰山頂にて。勝ったぜバカヤロー!!) 塩見岳山頂からは下り調子で歩いていく。北荒川岳あたりでは西側斜面が大きく崩壊していたり、夏道が顔を出していたりと先ほどまでとは全く異なる歩きとなった。 北荒川岳を超え、適当な平地で幕営。本日は午後にかけて気温が上がり、久々にヤッケを脱いでの行動となった。テント内も日差しと高い気温で暑かった。今のうちに小物類も乾かして、明日以降に備えよう。 (もはや粉となったShimizuのドーナツを片手にキメ顔の小平さん。3月16日は小平さんのバースデイ。みんな覚えてね) 【13日目】北荒川岳付近~熊の平小屋 雪 05:20 出発 11:20 熊の平小屋 前日、本日の行程を改めて確認。短い、やったー!なんて思っていたが甘かった。今日ももれなくひと波乱ありました… 例のごとく樹林帯のラッセルはスピードが上がらない。その上、湿っぽい雪が降りしきる中での行動で、体が濡れる。 山頂と呼べるような山頂も無いに等しい上、天気が悪く視界も効かない為、現在地の把握が正確にできていなかった。そろそろ熊の平小屋かな?と思ったが実際にはまだまだであったり、気持ちの落ち着かない行動に。井川越への尾根を発見して、ようやく一安心。重く固まった雪を無理やりラッセルし小屋に到着。 (小屋への到着を祝うユニコーン達) 2日ぶりの小屋、やはり快適だ。ただ、暗いのが難点か。 お楽しみとして食した漬物が10日切れていたことに気付いた時は肝を冷やしたが、とりあえず一日が無事終了してよかった。 (賞味期限が切れても、なお怪しく輝くナス。なんだか吐き気が) 《余談ですが、この日に通過した新蛇抜山。なんと読むのか、一年越しの疑問でしたが、答えは“しんじゃぬけやま”だそうです。蛇抜とは崩落や土石流の事を表すそうで、崩落地の多い山という意味だそう。勉強になったね!》 【14日目】熊の平小屋~間ノ岳~北岳山荘 晴れ(地吹雪) 05:30 出発 08:00 三峰岳 09:30 間ノ岳 11:10 北岳山荘 今日頑張れば、明日下山だー!という気持ちが本日のパワーの源。 昨日、みぞれが降っていたせいもあるだろうが、雪面が締って予想よりもスピードが上がり、順調に高度を稼ぐ。 太陽は見えないものの、眺望は効く。太陽光が直接降り注がないというだけで、日に焼けた赤鼻のヒリヒリがこんなにも楽になるものか。さほど悪くない天気、むしろ登山日和かもしれない。 三峰岳までは順調に進む。間ノ岳直下に、遠くからもピラミッド型にみえる岩峰があり、そこが本日の核心だという予想であった。 小平さんが偵察に行く。あれ?案外、「大丈夫」だそうだ。結果として、思ったほどここの通過には手こずらなかった。さすがリーダー! そこからは比較的すぐに山頂といった感じ。 (間ノ岳山頂) 小屋への下りもところどころ立ち止まる事はあったものの、11:00過ぎには無事に小屋へ到着。さすが天下の北岳山荘さま、避難小屋も立派です。 今、正午を過ぎたあたりだが、風がとてつもなく強くなってきた。行動終了のタイミングもばっちりだった。今日は思ったよりもスムーズな一日だったな。 【15日目】北岳山荘~北岳~池山小屋~夜叉神峠 雪のち晴れ 05:20 出発 直後に小屋へ引き返す 06:15 再出発 07:30 北岳山頂下 08:30 八本歯のコル 10:00 八本歯のコル通過 12:45 池山小屋 15:50 鷲ノ住山登り口 17:30 鷲ノ住山々頂 19:00 夜叉神峠ゲート 昨日からの強風が心配であったが、夜中にも風が窓を叩く音は止まず、結局朝まで天候が好転することはなかった。最終日ということもあり、皆朝の準備にはいつも以上の気合が感じられ、普段よりも早く、出発の準備は整った。 いざ出発。まだ外は暗く、強風による地吹雪により視界も悪い。体も猛烈にあおられる。出発してすぐに、小屋へ引き返すことに。その決断の瞬間、目の前の小平さんの声も全く聞き取れない程の暴風であった。 小屋でしばらく待機、しばし様子を見る。06:00を過ぎると、外は明るくなってくる。06:10、改めて小屋を発つ。しかし、風の強さは朝と変わっていない。横殴りの風に、体は大きくあおられる。ザラメ状の雪が勢いよく顔に吹き付け、その度に鋭く無数の痛みが顔面に走る。視界が効かず、まともに顔を上げることもできず、やはり体を風にあおられながらも歩き続けてはいるものの、小屋を出て出発した決断を3人とも後悔していた。 1時間ほど無心で耐え歩くと、上空のガスが突如として晴れた。その瞬間、見えていた世界がまさしく一変し、仙丈ケ岳や甲斐駒ケ岳の姿、そして伊那谷を挟んだ中央アルプスまでもが望めるようになった。眺望だけは回復した。それだけで、多少の希望を持ち直して歩くことができた。 しかし、依然として風の勢いが弱まる気配は無い。稜線上に出れば、バランスを保って歩くことが大変に困難な状況だ。こんな強風は間違いなく人生で初めてであり、決して下界では吹くことが無いであろう勢いであった。 小平さんが北岳山頂直下で先の様子を見に行く。待機中は、耐風姿勢をとることに精一杯であった。 小平さんが帰ってくる。「山頂へのアタックは中止します!」 誰一人として異存は無かった。一刻も早くこの状況から抜け出したかった。この風はマジでヤバイ。すぐさま八本歯のコルへと下降を始める。大きな雪の斜面へ入ると、ピッケルのピックやシャフトを用いて、三点支持の格好でトラバースをする。20m程進んだところで、体の右側・進行方向から爆風のような風が襲ってきた。同時に顔に痛みが走り、一瞬、呼吸ができなくなった。 ここから長い長い、しかし時間にすれば1時間程の地獄が始まった。風が岩にぶつかる音だろうか、ドオオオオオンという今までに聞いたことのない音とともに何度も風が襲ってくる。顔を上げれば地吹雪が顔を叩く。強風に体が一瞬浮く。雪に突き立てたピッケルを離せば、体が飛ばされそうになる。身動きがとれない。 聖さんが「どうする!?」と叫ぶと、小平さんは「耐えて!!」と答える。スノーバーを斜面に刺し、そこに3人がセルフビレイをとって先ほどの言葉通り、ただ風が弱くなる瞬間をひたすら待った。 後で聞いたことだがこのとき、遭難といったような絶望的な言葉が皆の頭をよぎっていた。それほど辛い状況だった。 一瞬、風が弱まる。「急いで行くよ!!」という言葉とともに、ようやく移動を始める。そこからはあっという間であった。そのエリアを抜けると、風が途端に弱くなった。空は晴れている。しかし、少し上の斜面上ではクラスとした雪板の欠片が、少し上空に向かって一直線に吹き飛ばされるのも同時に見える。このとき、ようやくピンチは脱したという安心感と、北岳の恐ろしさを感じていた。時刻は08:30出発から僅か2時間半の間の出来事ではあったが、この縦走を印象付ける辛くも貴重な経験であった。 ようやくザックを下し、一本をとる。皆の顔には、安堵の笑顔が浮かんでいた。気持ち長めに休憩した後、行動を再開する。その場を立ち去るとき、思わず3人で振り返り、北岳に向かってお辞儀をしてから出発した。 (振り返ればそこには一見穏やかな斜面。しかしあそこには地獄があった・・・笑顔で人をぶん殴る、北岳はそんな山です) 最終日、この後も行程は長く続くが、この朝っぱらからの地獄に比べれば気楽なものであった。核心であると考えていた八本歯のコルは、ロープを出しつつも難なく通過。 (下って) (登る!) 池山小屋を過ぎ、2週間ぶりの舗装路に出たのが15:10。この間、トレースやテープを頼りに、楽々と前進できた。この時点で、その先は鷲ノ住山を越えて夜叉神峠のゲートまで3時間はかかるという算段であったが、もうひと踏ん張りで下ってしまおうということになった。 (午前中とは大きく違う山道。鳥たちのさえずりが平和を演出) 鷲ノ住山を越えるころには18:00前になっており、流石に周囲も暗くなってきてはいたが、残るのは舗装路とトンネル歩きだけだ。このころには3人の会話も弾み、心なしか明るい最後のひと踏ん張りとなった。 19:00。ようやく夜叉神峠のゲートに着く。 甲府の夜景が見えた時に下界に来たことを実感し、ゲートを超えてゴール直後には公衆便所の前で万歳&握手で小さく喜びを分かち合った。 途中、この縦走を無事ゴールしたら泣いちゃうかもなあーと話したりしていたが、そんなことはなかった。今は最終日の、いや縦走の疲れでいっぱいだ。この達成感はいつどのように実感するのだろうか。電車に揺られている今でも、明日も明後日も山を歩いているじゃないかという気がする。それはすごく不思議な感覚だ。 おわり
by arayo_arayo
| 2012-03-28 00:58
| 積雪期個人山行
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