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(前篇から続き) 4日目(15日) 百間洞山の家~赤石岳~高山裏避難小屋 5:20 百間洞山の家 7:40 赤石岳山頂 9:30 荒川小屋 13:00 高山裏避難小屋 【雨】 『百間洞山の家・・・ここはテン場からトイレが遠くて不便だね。・・・ともあれ赤石へ向け出発。 出発と同時に、一気に標高を稼いでいく。稜線まで上がると、そこからはしばらく快適な稜線歩き!天気も良く、アップダウンも少ないため、スピードも上がり気分も良い。 赤石岳が見える、デカい! 登り出しの直前に馬の背という小さなピークがあり、それ越しに見る赤石岳がかっこよかった。 ペースはさらに上がり、予定よりもだいぶ早く山頂へ。ここからは聖が見える。遠くから見てもその大きさが伝わってくる。 その後、大聖寺平を経て荒川小屋へ。休止するつもりはなかったが、「休んで行けよ」と言わんばかりのベンチに思わず腰かける。中岳への登りを前に丁度良い休止だったかもしれない。 後ろ髪引かれながらも、小屋を後にする。中岳への登りも半ばに差し掛かったころ、お花畑を囲うようにして、シカの食害除けのネットが設置されていた。なんとも不細工だ。 中岳を目前に、前岳方面へ分岐を曲がる。このころから霧が濃くなる。 前岳付近~後は、斜面の片側が大崩落を起こしており、その縁をギリギリ歩くところもあり、正直怖い。 そして最後のひと踏ん張り、長い下りが待っている。ガレ場を下り、森林限界下まで標高を下げながらも、なおも歩き続ける。最後のひと踏ん張りが長い。途中水を汲み3kg程ザックが重くなり、ようやく小屋へ。ああ疲れた。雨が降り出したなあ。ギリギリセーフ。これで4日目も終了か。4日目、つまり日程の半分を過ぎた。このあたりから「下界への旅」っぽくなりこれもまた楽しい。明日も頑張るぞ!』 5日目(16日) 高山裏避難小屋~小河内岳~三伏峠小屋 5:10 高山裏避難小屋 8:00 小河内岳山頂 9:40 三伏峠小屋 『朝起きると、小屋番のおっちゃんがすでに活動を開始していた。 「ゴミがあったらおいてけよ!」”いえ、担ぎ下ろすので結構です” 「俺が燃やすんだから、黙って置いていけばいいんだよ!」”・・・じゃあ、お願いします” と、少々荒っぽい口調ではあったものの、親切なおっちゃんでした。どうやら小屋の名物オヤジでもあるようです。お陰でだいぶ楽になりました。 そして小屋を出発。 さらば! 今日の行程は比較的楽だ。しかし、昨日の雨に引き続き、この霧の中を歩くとなると、どうも気分が乗らない。それでも晴れる事を祈りながら、歩く。 途中、マルバダケブキのお花畑が点在する。雨にぬれて綺麗だ。 マルバダケブキ以外の植物はシカに食べられてしまったようで、単一なお花畑ばかりなのはこれによるもののようだ。シカも一丁前に好き嫌いがあるらしい。 小河内岳への道も、ずーっと樹林帯だった。単調な道。 ようやく標高を上げ始め森林限界を超える。あれが小河内岳か?山頂がなかなか見えない。しかし、束の間の晴れ間が見え始め、気持ちの良い歩きになる。 頂上へ着くと、写真を一枚。あとは三伏峠を目指すのみだ。 しかし直後に再び濃霧に巻かれる。また退屈な歩きが始まるのか・・・なんて思う間もなく、小屋へ到着。予定よりかなり早い。この日は色んな人や団体と話をした。SUWVと書かれたテントの人に、「もしかして信大のワンダーフォーゲル部ですか?」と尋ねたところ、島根大学だった。 なにはともあれ、明日はコースタイムで10時間だ。飯食ってがんばろ』 6日目(17日) 三伏峠小屋~塩見岳~熊の平小屋 5:00 三伏峠小屋 5:50 本谷山 7:15 塩見小屋 8:05 塩見岳東峰 11:40 熊の平小屋 【雨】 『朝起きると、大量の目ヤニで前が全然見えない。ふらつきながらもツェルトを出て、ラーメンを作る。4:00の時点で、隣のテントの人は出発していた。しかし自分はいつも通り、日の出とともに5:00に出発。 朝からガスに巻かれ、眺望はどこもきかない。一向に晴れる気配もなく、退屈な歩きが続く・・・ 本谷山を越え、権右衛門を巻き、あっけなく塩見岳の山頂へ。景色が見えないせいで、何の迫力も、高揚感も感じられなかった。今年の春に来た時と同様、ガス、ガス、ガス・・・ 塩見岳に今のところ良い思い出は無い。 その後は熊の平を目指し歩くのみ。一日中ずーっとガス。途中から雨も降るはで、とてもじゃないが楽しいと呼べる行動ではなかった。しかし、歩くことに集中したせいか、予定よりもかなり早い11:40に小屋へ着く。雨にぬれて風に吹かれたため、寒い。 ツェルトを立て、ミルクティーを飲む。この時、幸いにも雨は上がっていた。 偶然にも、隣はSUWVの方々のテントが。今度こそ、信州大学ワンダーフォーゲル部だった。ころあいを見計らって声をかける。昨年の縦走でも会った、同じ学科のM君だ。話に花が咲く。いつの間にか18:00になってしまったので、寝ることにする。 明日の行程だが、どうするか迷っている。朝から天気が悪ければ、農鳥岳はカットするか。どうせ、何も見えないだろうし、ガスで。それは明日決めよう。 どうも、最近は空模様がワンパターンだ。行動中は濃霧に巻かれ、テン場に着くと少し晴れる。18:00を過ぎると雨に変わる。 お願いだから明日は晴れてくれ、どうせ晴れないだろうけど。』 7日目(18日) 熊の平小屋~間ノ岳~北岳山荘 5:20 熊の平小屋 7:45 農鳥岳・間ノ岳分岐 8:50 間ノ岳山頂 10:00 北岳山荘 天気は案の定、濃霧で太陽は見えない。農鳥へ行くかどうか、まだ迷っていた。この調子ならカットだな。 寝起きは最悪。頭痛と共に目覚める。風邪でも引いたか? 15分ほど、シュラフから出られなかった。ようやく起きぬけ、さっさと仕度をして、いざ出発! 三峰岳へ行くか、農鳥小屋方面へ行くかの分岐で、空が晴れ始める。よし、この天気に期待して農鳥に行こう!と決心。 しかし・・・トラバース道へ突入したとたん、強風が吹き荒び、ガスも濃さを増していった。寒い。 小屋の手前まで行ったが、今回は農鳥はカットすることに決めた。あの状況では行きたくない、と思った。 天気は好転しそうにない。間ノ岳の山頂を目指す。途中、吹きっ晒しの道は本当に寒かった。フリースを着こんでも寒い。山頂に着いても、爆風!!まぶたがひっくり返るほどだ。 うーん・・・しんどい。体調が悪い。小屋までの2時間が長く感じる。 小屋へ着くと、テン場には誰もいない。貸し切りだ!テン場に着いてからは、天気が安定し始めた。 明日は下山。後半はずっと天気がパッとしなかった。 下山は楽しみでもあり、淋しくもあり・・・とにかく気を抜かずに下山しないとなあ。』 8日目(19日) 北岳山荘~北岳山頂~白根御池小屋~広河原BT 5:20 北岳山荘発 6:15 北岳山頂 6:30 北岳肩ノ小屋 7:25 白根御池小屋 8:35 広河原BT 【一日中、雨】 『朝起きると、ツェルトが潰されていた。外は雨。ツェルト内でエッセンする他ないので、外へ出て建て直す。 この一週間で最悪の天気だ。雨、風ともに強い。 下山パワーで、休憩もそこそこに快調に飛ばしていく。 北岳山頂では、他の大学のパーティーと悪天候を嘆きあう。 白根御池で雨宿り、その後はノンストップで広河原BTへ。 ようやく8日間も締めくくりだ!しかしその時は下山の喜びも無いまま、淡々と着替えた。 待合室に入るも、なんだか臭いので外に出る。多分、自分の臭いだ。帰りのバスは高校山岳部と乗合のバスで甲府駅まで。 そして今は松本行きの電車に乗っている。やっと布団で寝れる、コンタクトを外せる!そんな事を思うと、幸せな気持ちになる。毎度のことだが、普段の生活が本当に待ち遠しい。まあ、直に山が恋しくなるだろうが。』 以上が、8日間の日記の抜粋 いやあー、印象深い良い縦走だった! 後半になるにつれて天気が悪くなり、体調も崩してしまったために最後の方はモチベーションが低下気味に。しかし確かに一人で歩き切った。これは間違いなく自信に繋がると思う。 思いつきでツェルト山行に決めたが、ツェルトの居住性がここまで悪いとは思わなかった。しかし快適性以外はそれほど問題なく、夏の1泊2日のソロ山行などであればツェルトでも充分だと感じた。 例えば登攀山行などで軽量化が必要な場合に、自信を持ってツェルトをテントの代用として使えるようになったと思う。山行の幅が広がった。 辛ければ辛い程、後々記憶に残る良い山行になる。それを実感した縦走だった。
by arayo_arayo
| 2011-09-23 22:43
| 無雪期個人山行
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